大事な夫のために買う
同窓会から帰ったのは9時前だった。「たまには、もっとゆっくりしてくれば良かったのに」30年振りに会う45歳になったクラスメート。皆それなりに歳を重ねた顔になっていた。だけど涼子は相変わらずきれいで若々しかった。
同じ年齢なのにこんなに違うのは何故だろう。
鏡の前で化粧を落とした自分を見る。しわやたるみが目立つ。涼子はみんなに囲まれ質問攻めにあっていた。何使っているの?エステ?サプリ?彼女はミューノアージュという化粧品がいいと言っていた。
離れた席にいても聞こえた。学生の頃から目立たなかった私。今日も私の事覚えている人はほとんどいなかった。正直ショックで寂しい。きれいになりたい。そのミューノアージュという商品を使ったら変われるだろうか。もう遅いかな。
夫のパソコンの電源を入れる。検索画面にミューノアージュと入力した。美容医療の効果が期待出来るとの事。でも結構高い。「買いなよ」背中から聞こえた声。振り向くと優しい眼差しと目が合った。
そうこの大事な夫のために少しでもきれいになろう。ミューノアージュを買った。